埼玉県蕨市を拠点として、「もっとステキに暮らす。」をメインテーマに賃貸管理業や不動産コンサルティングを行なう株式会社エスアンドティ様。2020年1月から内見予約くん、4月から申込受付くんを導入し、内見予約数の増加と残業時間の削減等を実現されています。さらに取材を行なった2020年9月には、管理物件の入居率が99.2 %を記録したとのこと。いかにしてこのような成果を出されているのか、取締役兼本店の店長を務める大原 亨(おおはら とおる)様にお話を伺いました。
働き方を見直し、イタンジのシステムを導入

(株)エスアンドティ 本社オフィス(埼玉県蕨市)
− 内見予約くんや申込受付くんを導入するに至った経緯を教えてください。
「元々弊社は定休日が水曜・木曜だったのですが、従業員に家族や友人との時間を充実してもらいたいことや優秀な人材の採用および確保のため、定休日を水曜・日曜に変えようと決めました。しかし日曜日は仲介業者様から案内希望の問い合わせが多く、オーナー様のためにもそれらの案内を取りこぼしたり、申込みの機会を逃したりするわけにはいかないため、どうしたらよいかと考え、内見システムの導入を検討し始めました。
何社か比較したのですが、セキュリティに不安がないかどうかや、申込までできるかどうか、そしてなにより仲介会社様が使いやすいかどうかを検討した結果、イタンジのサービスを利用することに決めました」
− 従業員のみなさんを思って、というのがきっかけだったのですね! ほかにも課題に思っていたことはありますでしょうか?
「紙のやりとりがあまりに多いことは、長らく課題に感じていました。また内見となれば名刺のファックスや鍵についての連絡、申込となれば用紙を送ったり、読めない情報を再送してもらったりと、無駄なやりとりが多いことにも頭を悩ませていました。また、電話の際に契約担当者に取り次ぐ時間なども積み重なって、かなりのロスになっていました」

− そこで、デジタル化を決断してくださったのですね。慣習を大きく変えることには抵抗や不安もつきものだと思うのですが、その点はいかがでしたか?
「もちろん変化にはリスクが伴いますが、弊社では新しいことにチャレンジすることや変革することに対し、積極的に取り組む社風があるので、デジタル化を導入しようと声があがったときも社内での決断は早かったです。また近い将来、業界でもデジタル化が進んでいくだろうと思っていたのと、デジタル化を導入することがエスアンドティのブランディングにも繋がるだろうと考えました。やれることをやって、成果がでなければ諦めもつきますしね」
内見予約くんを導入後、内見数が昨対比139.1%に!
− 導入後、どのような効果が見られましたか?
「内見の取りこぼしがなくなり、内見予約数が増えました。今年の1月に内見予約くんを導入し、1〜3月で内見予約数は249件にのぼりました。昨年の同時期(1〜3月)の内見数は179件でしたので、内見予約数は昨年との比較で、139.1%に増加したのです。しかも、データが見える化したことによって判明したのですが、営業時間外(10時~18時以外)の内見予約くんからの予約がそのうちの8.27%も占めており、今まで休みだった水曜・木曜の内見予約はなんと15.5%も占めていました。これほど機会損失していたとは想像以上で、驚きました。
おかげさまで、現在(9月21日時点)の入居率は過去最高の99.2%を記録しています。 管理戸数は約1300戸なので約1290戸が入居しているという状態です。イタンジのサービスには、感謝しています。導入して本当によかったと思いましたね」
− ありがとうございます! 99.2%という数字は御社のユニークなお取り組みあってのことと思いますが、また後ほどお話を伺わせてください。そのほか、デジタル化によるメリットは何かありましたか?
「工数が大きく削減されて、残業時間が削減されました。電話を取る回数でいうと、半減していると思います。また人件費や紙代等の経費削減の効果も予想を超えるものでした。 またチャット機能も積極的に活用しているのですが、記録が残るのでトラブル防止につながった点も大きいですね」
− 逆に、導入前に懸念に思っていたことや、現在不便に感じていたポイントを教えてください。
「弊社ではあえて賃貸仲介をしていません。その分、よい物件の囲い込みを行なわないことで、仲介業者様とはよい関係性を築いています。そんな中、新しいシステムを導入することで敬遠されてしまわないかということが最大の懸念でした。なので、事前に自分たちで内見システムの資料を作成し、導入前にお世話になっている仲介会社様に対し説明するなど、事前にできることはしました。
導入後は、予想以上にみなさん使いこなしてくださって、安心しました。むしろ仲介業者様の中には、名刺FAXや電話のやりとりがなくなり、便利になったという声も多数いただきました。中には従来通り書面でのやりとりを希望される方もいらっしゃいましたが、そういうケースには柔軟に対応しており、特段問題はありませんでした」
建築プロデュースを行なったオンリーワンの建物には、空待ちが続出

グループ会社(株)エスアンドティモア 本社オフィス(埼玉県蕨市)
− 御社は賃貸管理業務だけでなく、建築のプロデュースもされているのですよね。
「グループ会社である株式会社エスアンドティモアのメイン事業として建築プロデュースを行なっています。土地活用をご検討のオーナー様から『ハウスメーカーのような同じ建物では差別化ができないのでは』というお声をいただいたことから、独創性があり、かつ本当に住み心地のよい空間を追求するために建築デザインを行なうようになりました。
事例をいくつかご紹介すると、当オフィスからも近い『LA VIE CLAIRE(ラ・ヴィ・クレール)』はオーナー様が経営するブティックが映えるヨーロピアンなデザインで設計しました。上階は居住用賃貸、1階部分はアクセサリーショップやネイルサロンがテナント利用しています」

<LA VIE CLAIRE(埼玉県蕨市)>
「こちらは、和モダンをテーマにした『AMAT HAUS(アマットハウス)』です。 参道沿いに面した建物は京町家をイメージしたアパートメントです」

<AMAT HAUS(埼玉県蕨市)>
「北戸田の『Gran Felicia(グランフェリシア)』のコンセプトは『美しいヨーロッパの街並みをそのままに』。約600坪という広大な土地を生かし、大きな中庭(パティオ)をつくることで大人のブランドメゾンをイメージさせるデザインにしました。お部屋は約60平米の1LDKですが、賃料は12万円前後で、都内に比べると低い賃料です。それでいて都内へのアクセスもよいため、おかげさまで完成前から満室になるほど好評いただいています」

<グランフェリシアの中庭(埼玉県蕨市)>
− 本当にオリジナリティのあるすてきな物件ですね。入居率99%超えも納得です。
「ありがとうございます。これからの賃貸経営は厳しくなります。オーナー様のためにも本当に住み心地のよい空間を追求し、他物件と競合しないオンリーワンの建物が必要だと考えています。そのため、企画段階からしっかりと作り込んでいくため、一年に1棟しか建てることができないのです。今ではありがたいことに、私どもがプロデュースした建物に住みたいと全国から問い合わせがあり、空待ちがでるほどになりました」
− 賃貸管理業務だけでなく、建物プロデュースでも才能を発揮されているなんて驚くばかりです。広島県福山市での取り組みについてもぜひ教えてください。
「福山市は、社長である父の出身地です。地元に貢献したいという思いで、賃貸物件『KNOCK DESIGN LAB(ノックスデザインラボ)』を自社所有し、地元のクリエイターを支援したり、ゲストハウス『内海ハウス』を運営したりしています。ゲストハウスの宿泊費はすべて島の農園整備などに寄付させていただいています」

<KNOCK DESIGN LAB(広島県福山市)>
− 一度行ったことがあるのですが、瀬戸内海に面していて、本当にすてきなところですよね。御社の、唯一無二の事業形態に非常に感銘を受けました。最後にぜひ、今後イタンジに期待することもお聞かせください。
「私自身、大学を出て大手不動産会社に勤めていて感じていたのですが、不動産業界にはまだまだ昔ながらのアナログ文化が根深く残っています。業界の今後を思うと、そのアナログ文化や古き風習を一掃し、勤めている人たちが IT の力で働きやすくなることが業界の発展にもつながると思っています。イタンジさんには、業界を変革する存在として、ぜひ今後も頑張っていただきたいです」
− ありがとうございます!